村上春樹の小説は表現が平易
個人的には村上春樹の小説は、英語勉強のいい教材になると思っています。
理由は以下の4つです。
- 平易な英語が使われているから
- 物語が難しくないから
- エッセイも含めてほとんどの作品が英訳されているから
- アメリカの小説のよいガイドとなるから(入口になるから)
一番、おすすめできる理由は比較的簡単な英語が使われているからです。
もとの日本語自体が平易なので、難しい言葉を使いようがない、というところだとは思いますが、難しい表現がない、というのは学習の教材として大きなポイントです。
言葉遣いが平易ならば、物語の筋自体もとっつきやすいものです。
村上春樹の世界観そのものがダメでなければこれもポイントです。
それから、作品のほとんど全部が翻訳されているのも利点の一つです。
お気に入りの作品だけ翻訳されていない、なんていうこともありません。
しかも小説に限らずエッセイも対談本も翻訳されています。
物語にのれない場合でもこういうもので英語を勉強できるというのはとても大きいことです。
4つ目のアメリカの小説のガイドになる、というのはおまけみたいなものですが、アメリカの小説まで素材にできるとなると学習の幅が広がります。
村上春樹の初期の小説というのは、カート・ヴォネガットや『アメリカの鱒釣り』のブローディガンから養分を得ています。
また、『羊をめぐる冒険』を読んでみるとチャンドラーの『ロンググッドバイ』からそのまま間借りしている場面があるとわかります。
そういう影響関係をたどるとアメリカ小説へのよい案内になります。
これもまたポイントに加えていいものです。
僕は単語を覚える素材にしてしまっています
例えば、TOEICの満点保持者で作家の清涼院流水さんは、『What I Talk About When I Talk About Running走ることについて語るときに僕の語ること』というエッセイを勉強の素材として使ったそうです(『努力したぶんだけ魔法のように成果が出る英語勉強法』より)。
村上春樹の場合、物語の筋が平易ならば、エッセイも難しいロジックがあるわけではありません。
だから、いままさに触れたように、物語にのれなくてもエッセイならば読めるはずです。
ちなみに僕の場合は、以前の記事に書いたように、単語を必ず小説やエッセイの文脈に落としてこんで覚えてしまいます。
理由は以下の二つです。
- ただ往復するようなつまらない勉強は僕にとって拷問だから
- 文脈にうまく落とし込めれば忘れないから
感動すれば、忘れないというのは、誰でも持っている体験の一つのはずです。
仮に自分の好きな文脈に覚えるべき単語を落とし込むことができれば、まず忘れません。
ただ往復するような砂をかむような勉強が自分にあっているという人も中にはいるとは思います。
ただ、10代ならばともかく、体力にまかせたゴリ押しをいつまでもしていると勉強に対する興味自体を早々に失ってしまうことにもなりかねません。
英語学習は早い段階で習慣化させることができれば、自然と長続きします。
親しみのある素材を使っていくことは習慣化にも有効のはずです。
昔、三島・谷崎、今、村上春樹
僕はTOEICの勉強に特化した記事をこのブログでひたすら書き続けてきましたが(処世術ばっかり書いてきた!)、常に考えているのは
英語で何を言うか
ということです。
日本では英語が上手い人というとLとRの発音を完璧にこなす人というばかげた考えがいまだに流通しています。
もちろんこれは「うまい人」の本質ではありません。
そんなことに真剣になっているのは日本人だけだと思います。
昔、ソニーの創始者のひとりである故・盛田昭夫さんは英語がうまい外国人だと、アメリカで称されたことがありますが、彼の発音がネイティブのようだからうまいと称されたわけではありません。
話している内容に意味があるから、そういう風に言われたわけです。
20年前であれば、日本人の小説家という冠をつけなくても世界的なスタンダートとして通用したのは三島由紀夫と谷崎潤一郎です。
2023年現在この地位はおそらく村上春樹のものです。
世界的な共通言語になりつつある作家の作品の一つぐらい読んでおいたほうがいい、というのはうがった意見かもしれませんが、一応僕自身はそう思っているので付け加えておきます。
僕のオススメについて
最後に僕のオススメを紹介しておきます。
いきなり長編の分量を読むとなると敷居が高くなってしまうので、短編がよいと思います。
それと執筆時期によって作風は微妙に違っているので、比較的広範囲の作品を集めた作品集というのが僕は適していると思います。
まず最初にオススメするのはこの本です。
この本は、海外の読者のために編まれた本で、その構成に合わせて日本語版も出版されたという異色の本です。
このなかには『NORWEGIAN WOOD』(『ノルウェイの森』)のひな型になった『Firefly』(『蛍』)という小説も入っています。
そのまま村上春樹の代表的な長編の一つを読むための足掛かりとなっているという点でも入り口としてはおすすめです。
また市川準監督によって映画化された『Tony Takitani』(『トニー滝谷』)も読むことできます。
もし映画を先に観ている人がいたらここから読み進めてみるというのもアリです。
どの小説も分量の少ない短編がならんでいるので、リズムはつくりやすいと思います。
僕は900点を超えてからこの本を読みましたが、ほぼノーストレスで通読することができました。
平易な文章しか使っていないという点はこの小説群にも、もちろん共通しているので、TOEICの点数が浅かったとしても、英語の辞書にかかりっきりというようなことはないはずです。
もう一つあげるとすると、同じく短編集のこの本です。
この本は、『BLIND WILLOW, SLEEPING WOMAN』よりも少し長めの短編(中編とよびには短い)が6つ入っています。
震災とオウム事があった後に書かれた小説で、日本語の小説では副題になっていた「AFTER THE QUAKE」が英語版ではタイトルになっています。
ちなみに僕はここに載っている『Honey pie』(『蜂蜜パイ』)という小説が村上作品のなかでは最も気に入っているものの一つです。
この本もまた900点を超えてから読みましたが、英語で全編面白く読み通すことができました。
僕からはこの2冊をおすすめしておきます。
今回は英語学習と村上春樹の小説の相性について書いてみました。
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●追伸
自分の心に響いた文脈で覚えることができれば、絶対に忘れません。
ひたすら往復するようなゴリ押しがきかなくなってきた人におすすめの方法です。
以前、900点になる直前には趣味の読書も英語関係のものにして追い込んだ、という話をしましたが、そのときは村上春樹の小説(英訳)をよく読みました。
今回は村上春樹の本が英語の勉強に向いている理由を書いてみます。