●最新刊を解くことによって本番の点数がほぼわかります
●他の問題集に手を出すのは、2016年の問題改定以降に出版された10冊(2022年10月現在)をなめつくした後です
今の自分の点数を確かめるために解く
『公式問題集』の最新刊というのは、その時点でのTOEICの難易度、傾向をほぼ正確に反映しています。
だから、最新刊を解けばその時点での本番の点数をほぼ正確に確かめることができます。
どんな問題集にもスコアの「換算表」というのがついていますね。
ただ僕が指針にしている数字はこの換算表ではなく、全体の何%正解できたのか、という
正答率です。
例えば僕は2022年のテストで935点になりましたが、直前でやった『公式問題集8』の「TEST2」はリスニングが93問、リーディングが89問、合計で182問正解という成績でした。
正答率で言うと91%です。
TOEICの満点は990ですから、この数値にあてはめてみると
900.9点ぐらいになるとわかります(990×0.91)。
結果は935点なので、本番はできすぎの感がありますが、少なくとも『公式問題集』で「182問」正解していれば900点は超えてきそうだな、と予測できます。
- 全体の何%正解できたか見る
- 満点が990なのでそれに当てはめて考える
↓
ただこれだけの話です。
僕の場合は900点を超えてもいまだに塗り絵をしています。
『公式問題集8』の「TEST2」を解いたさいには「6問」も余らせました。
この点数はそのまま減点してあります。
本番では、空欄のままにせず答えを適当に埋めるはずですから(実際にそうしました)、多少はいい点がでる可能性があります。
また、TOEICはリスニングのほうがリーディングよりも点数が甘くでるようになっています。
リスニングでより正解できている場合は、その分点数が出やすくなります。
ざっくりしたところで言ってしまうと、
- 161問程度を最新の『公式問題集』で正解できたら800点がほぼ見える
- 181問程度を最新の『公式問題集』で正解できたら900点がほぼ見える
ということになります。
ポイントになるのは、そのときの最新刊を使うということです。
2016年の問題改定直後の問題と今の問題は違います。
実は難易度もあがっています。
だから、今の正確な点数をはじき出すには最新刊を解くのが大事になってきます。
もちろん、初めて解いた「初回」の点数によってそれがわかります。
ちなみにですが、自分の今の実力がわかっていれば、本番で極度に緊張するということがなくなります。
なぜかと言えば自分の実力は減るものではないし、本番になったからと言って極端に増えるわけでもないからです。
スポーツでも練習でできないことは試合でもできません。
試合でできることというのは、基本的には練習でできることだけです。
どうしても点数があがらなくて困っている人は、まず自分の正確な現在地を把握することから始めてみてください。
意外に練習でもできていないということがほんどではないでしょうか?
こういうことを考えてもやはり、リスニングに点が出るつくりになっていると言えるはずです。
『公式問題集』はなめつくすように復習する
僕が考える『公式問題集』の正しい使い方、「その2」は掲載されている単語や文法を全部頭に入れるということです。
つまり、なめつくすように復習するということです。
そんなの当たり前じゃないか!
という声が聞こえてきそうですが、でも、これができていない人が意外に多いというのが僕の実感です。
僕の友達に異常にTOEICの問題集に詳しい人がいます。アマゾンのレビューとかをなめつくすように見ていて、どの問題集が精度が高いとか、あの問題集はちょっと質が悪いとか、よく寸評をしています。
当たりまえですが、アマゾンのレビューなんかをいくらながめても点数はこれっぽっちも上がりません。
問題集に詳しくなってもなんの足しにもなりません。
なめつくしていいのは『公式問題集』だけです。
(もちろん本当になめるわけではありません。念のため。)
では、そういう問題集のレビューオタクが肝心の『公式問題集』をどう扱っているのかというと、実に粗末に扱っています。
だいたい、「3往復」したとか、「5往復」したなどという愚かしい答えが返ってきます。
しかもその往復の内容をよく聞いてみると、ただ問題を解くことを繰り返しているだけです。
漫然と同じ問題を解いていて頭に残るのはたいがい正解だけで、結局「なんで正解だったのか」は頭に残りません。
同じ問題を何回も解いていると取れる点数は当然あがります。
それに気をよくして受けた本番で大コケしたという体験をあなたもしたことがないでしょうか?
問われ方がちょっと変わると答えられないというのはその問題を完全に理解したとはなりません。
なめつくすとは、執拗に復習して、そこに載っている文法や単語がどんな文脈に入っても答えられるようにすることです。
『公式問題集』は2016年の問題の改定以降に10冊が出版されています(2022年10月現在)。
他の問題集に手を出すのは、この10冊をなめつくしてからで十分です。
僕の実感で言ってもこれだけやれば900点は必ず超えます。
一言一句おとさないようになめつくすこと。
これが僕が考える『公式問題集』の使い方です。
僕はこうやってなめつくしています!
なめつくすと言っても、じゃあ具体的にどうやって復習しているの?
という声があるかどうかはわかりませんが、僕がやっている復習の仕方に少し触れてみます。
僕の場合は常に自分の好きな文脈に入れて単語なり、文法を覚えるというのを徹底してきました。
好きな文脈に入れるとはつまり小説や映画やドラマの場面に落としてしまうということです。
僕は会社で730点がノルマになって、英語を徹底的に聴いていたころ(いまでも耳さえ空いていれば聴いています)からこれをずっとやっています。
誰でも物語に感動した経験をもっているはずですね。
ドラマでもいいし映画、小説、もちろんマンガ、アニメでもいいです。
僕は、たまたま本を読むことが好きだったので、小説(のオーディオブック)を使い倒すことになりました。
原作が英語である物語は日本ではふつうに触れることができます。
そういうもののなかで自分が気に入ったもの、心が動いたものを集めてきて徹底的に利用してきました。
例えば「much less」という熟語がなかなか頭に入らなかったとします。
(実際私はかなり苦戦しました)
今であればドナ・タートの『The Secret History』の文脈を使って覚えてしまいます。
探せばこういう文章が載っています。
―but then I had a hard time talking in English, much less Italian. God knows where Bunny was. I have no memory of seeing him, nor much of anything else.
英語で話すことさえ大変だったのに、ましてイタリア語となればなおさらだった。そのときバニーはどこにいたのかはわからない。彼を見かけた記憶なんかないんだ。
これは、ヘンリーという登場人物が友人であるバニーとしたイタリア旅行を思い出しながら話している場面です。
このあたりから物語の動きが激しくなってくるので印象に残っている箇所の一つです。
念のため触れておくと、「much less」というのは「まして~でない」という意味で、否定的な文章の後に続けて、さらに否定をしたいときに使われます。
『collins cobuild』の説明ではこうなっています。
You use much less after a statement, often a negative one, to indicate that the statement is more true of the person, thing , or situation that you are going to mention next.
前文のあとに使ってより続く文章を強調させる、という感じですね。
具体的にはこういう風にして「使える文章」で単語なり文法を覚えてしまっています。
あなたも単語帳を使っていると思いますが、僕はその単語帳に載っている文章というのはほとんど使いません。
映画やドラマ、小説の場面に載っている文章を使います。
英語をむりやり自分のフィールドに引き込んでしまうという感じです。
ほかにも、未来のことを言う文章の中で使って「~後」となる「in」の使い方に苦戦したとしましょう。
(そもそもこの使い方を知っていましたか?)
今度は750点を取るまでにオーディオブックを聴き倒した『ゴットファーザー』の次のような文章を使います。
“Get the car,” Michael called down to him. “I’ll be leaving in five minutes. Where’s Calo?”
「車を出してくれ」マイケルは声をかけた。「5分後に出るよ。カルロはどこだ?」
ここではイタリアに逃れているマイケルが用意された車に乗り込もうとしています。この後、先に車に乗っていた彼の妻が仕掛けられていた爆弾で死ぬことになります。
映画でも生かされている場面なので、この文章を読むと、車が大破した絵がいつも頭に浮かびます。
とても心に残っている場面です。
物理的に往復することが単語や文法を覚える際には一番効率的だ、と言われますね。
僕自身も往復はしています。
ただし、ただ往復するのではなくて、こうやって自分の好きな文脈を使って往復するようにしています。
そうしたことができれば一番いい、というのは誰にも異論のないところだとは思いますが、例えば池谷裕二さんのこういう文章を参照してもいいと思います。
僕が言うよりは確実に説得力があるはずです。
作家のサン・シモンは晩年こう語りました。「感動する心を失ってはいけない。感動する心を失ったら何事もなされない」と。進化の過程で何千万年もかけて自然淘汰されてきた記憶のこの性質(※興味をもってことに臨めば、ものごとをすんなりと覚えらえるようになるという性質―引用者注)を利用することは、生物学的にも理に適ったもので、脳への負担も少ない方法なのです。
※『記憶力を強くする』から引用
TOEICの点数を上げることだけに注力をしていると点数の上がりが鈍くなったときにすぐに萎えてしまいます。
まず自分の興味のあるところに上手にコミットしていくというのがとても大切になってきます。
一応今回のまとめをしておくと『公式問題集』はまず、
- 現在の自分の実力を見極めることができる
そして
- 復習を完璧にこなせば必ず900点は超える
ということになります。
加えて、復習の際に自分の興味があるコンテンツを絡ませるのがよい、ということをお話しました。
なお、英語を聴き続けていくと、文脈を利用するときにとても役に立ちます。
年中耳にしている場面というのは必ず耳に残るからです。
僕は未知の単語なり、文法なりに遭遇するとだいたいあのコンテンツのあのあたりにこういう場面があったのでそこで使われている可能性が高いな、という「あたり」をつけます。
この「あたり」は年々精度が増しています。
あなたのやり方の参考になるかはわかりませんが、聴き方についてはこちらでもくわしく話しています。
今日はこのあたりで。
●『公式問題集』は今の実力をほぼ正確に知ることができます!
●復習を丁寧にすれば900点は必ず超えます!
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●追伸
それを学習だと思っているとどうしてもハードルが高くなってしまいますね。
僕がこのブログをはじめた当初、そのときの自分と同じような点数の人をツイッターなどでおいかけたりもしましたが、ほとんどの人は2年もたたずに発信をやめてしまいました。
そういう人の発信内容を見るとまず、処世術だけに焦点を当てているものがほとんどした。
今回僕が書いているものも処世術だとは思いますが、それだけでは躓いたときに長続きしません。
2020年にTOEIC900点を突破してから、点数の伸ばし方を相談されることが多くなりました。
そのなかで、一番感じることは『公式問題集』を使っていない人があまりに多い、ということです。
今回はTOEICの学習には必須だと言われている『公式問題集』の正しい(と僕が思っている)使い方を紹介してみたいと思います。