I could~? I was able to~? ~いまさら聞けない「できた」の違いについて~

高橋
こんにちは高橋です。
今日は、ともに「できた」という意味になる「was(were) able to~」「could」の違いについてお話しました。この違い自体は一度説明を受ければすぐに飲み込める話だと思いますが、やっかいな意味を持つ「could」にも言及してみました。あなたが「can」の過去形が入っているのに、「今」のことを表す文章に遭遇して「やられた」経験をお持ちだとしたらぜひ読みすすめてみてください。

 
 

couldとwas(were) able to~の使い分けが存在するの?

ウィッキー三世
今日は「I could~」「I was able to~」ですか?
乱三世
「I could~」と「I was able to~」ってタイトルには書いたけど、まず「can」と「be able to」の一般的に言われている違いから入ろうか。
ウィッキー三世
「be able to」は物が主語のときは使えないっていうのは習った気がしますけど。両方「できる」と訳しますよね。
乱三世
基本的には「can」が「継続的にできる能力」「身に備わった能力」を表して、「be able to」は「一時的な能力や達成」を表す、ということなんだな。なんで過去形の「could」や「was(were) able to~」を用いて説明しようとしているかと言えば、過去形の方がその性質がよりはっきりするからだ。それと「be able to」は物が主語のときは基本的には使わないというのはお前の言う通りだ。
ウィッキー三世
これは、過去形で考えるとすると具体的にどういう風になるわけですか?
乱三世
「be able to」の過去形であれば、一時的な能力、過去のある時点で達成できたことを表すわけだな。重要なのは、過去において達成できた1回限りの行為については「could」を用いることは基本的にはない、ということだ。「be able to」の実例が入った文章を持ってきてからまずこれを見てみよう。

 
 

was(were) able to~は過去において達成できた1回限りの行為を示します!

Did they find the man who really killed the policeman, is that why you were able to come home?
警官を殺した真犯人はみつかったの? それであなたは戻ってくることができたの?
 
 

乱三世
これは、「ゴッドファーザー」から抜いた文だけど、警官を殺したあとイタリアに身を隠していたマイケルに対して恋人のケイがたずねている場面だ。この「you were able to come home」(家に帰ってくることができた)っていうのはさっきの説明に当てはめるとどうなる?
ウィッキー三世
「過去において達成できた1回限りの行為」になるわけですか?
乱三世
「身に備わった能力」っていうのとは違うわけだな。では「could」を「できた」の意味で使えるのはどういう時かというと、「昔は泳ぐことができた」とか「昔はマラソンを完走することができた」なんていう場合だな。例えば「20代のころは徹夜だって平気だった」なんて意味を表したければ「When I was in my twenties I could stay up all night.」とするわけだ。
ウィッキー三世
「昔備わっていた能力」「継続的な能力」を表していて、一回の達成ではないということですよね。
乱三世
そう。
ウィッキー三世
でも、「couldn’t」で能力を表す文章っていうのはよく見かけると思うんですが、それは例外なんですか?
乱三世
「couldn’t」っていうのは基本的には、達成していないわけだろ? だから、今説明している「was(were) able to」が一時的な能力、過去のある時点で達成できたことを表して、過去において達成できた1回限りの行為については「could」を用いることは基本的にはない、というルールの埒外にあると考えていいわけだ。
ウィッキー三世
要するに「couldn’t」で「(一時的に)できなかった」という意味を表すことができるということですか?
乱三世
これも、例えば「last year」とか過去を表す文言がつくことが多いけど、基本的にはそういうことだ。「could」と「was(were) able to~」のすみ分けについてはここでまとめておこう。次は神経質になる必要がある「could」の使い方があるから、それを見てみよう。
ポイント1 
●「could」……「昔備わっていた能力」「継続的な能力」を表す。一回限りの達成には基本的には使用しない。

●「was(were) able to~」……過去において達成できた1回限りの行為を表す

 
 

「could」なのに過去のことを表さないの?

乱三世
「could」とすれば普通は過去のことを表すわけだけど、例外があっただろ? 前にこのブログでも取り上げた文法があったと思うけど?
ウィッキー三世
仮定法ですね。
乱三世
そう。仮定法がやっかいなのは、「If I were you」なんていう前提になる条件が省略されることが結構あるってことなんだな。例えば「Your operation could damage my other interests.」としたらどんな意味になる?
ウィッキー三世
これもその前提が抜けている文だということなんですか?
乱三世
実はこれは「ゴッドファーザー」の文章から条件に当たる部分を抜いた文章なんだ。元々の文章はこういう風になっている。

 
 

「could」を用いた仮定法の文章です!

Your operation, if I were part of it, could damage my other interests.
私がもし一緒にやることになったら、このビジネスは私の他のビジネスをダメにしてしまうかもしれない。

 
 

ウィッキー三世
「if I were part of it」を抜いたわけですね。
乱三世
そう。ちなみになんで仮定法だとわかるか一応答えてみて。
ウィッキー三世
「I were」と「were」を使っていて、しかもcouldと過去形の助動詞を使っているからですね。
乱三世
これは「仮定法過去」なんていう名前が付けられているものだけど、「現在のこと」を表している文章なわけだな。だから「できた」という意味ではない、ということだ。
仮定法の条件節の省略はTOEICでもよく見ることができます!
「得点アップのコツは意外なところにある!? わくわくTOEIC対策34」
ウィッキー三世
さっき「could」を使うときに、過去のある地点を表す文言と一緒に使うことが多いと言っていましたけど、要するに、聞き手や読み手が仮定法と間違わないようにはっきりさせているということですか?
乱三世
そういうことだ。例えば他にも、仮定法のバージョンとしてこんなものがあるから紹介してみよう。
 
 

「could」で「しようと思えばできる」という意味を表します!

“If Moe Greene wanted to talk to your father, why not let him? The Don could always persuade anybody,~”
モーグリーンがドンと話したいと言ったのならなぜそうさせないんだ? ドンは誰でも説得することができるのに。
 
 

乱三世
「The Don could always persuade anybody,」としてどうなっている?
ウィッキー三世
「ドンは誰でも説得することができる」となっていますね。
乱三世
これは、「しようと思えばできる」ということを言っている文章なんだな。つまり「いつでもできた」と過去のことを言っているわけではないということだ。
ウィッキー三世
仮定法の条件の部分が省略されていたさっきの文章と構造が一緒だと考えられるわけですか?
乱三世
そう。「could」にはこういう特徴があるから、「できた」とする場合は、はっきりした過去の時点を示すといった「印」があることが多いということだな。
ウィッキー三世
文章を読むときにもそれこそ神経質になる必要があるってことですね。
乱三世
「できた」と使う場合は限定されているから、それ以外の「could」に関しては仮定法を中心に考えていくということかな。一応どういう時に「could」を「できた」と使えるかもう一度答えてみて。
ウィッキー三世
「昔は泳ぐことができた」だとか、過去の「継続的な能力」の達成のときですね。
乱三世
そう。今日はこのあたりで。
 
 

ポイント2
●couldは改定法として使われることが多い。その場合は現在の仮定を表す
●仮定法は条件節が省略されていることが多いので、時期を示す「印」などを元に「できた」という意味と区別する癖をつけることが大事

 
 
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高橋
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●追伸

高橋
例えば、1回限りの行為に「could」が使われる例外として「see」や「hear」の知覚動詞、「understand」などの認識動詞が続く場合が挙げられます。ただ、TOEICを学習するために、ここまで深く掘り下げることは不要です。一番重要なポイントは「could」と「was(were)  able to~」の違いを意識することと、「could」が使われている場合、仮定法なのか単に「できた」と言っているのか見極められるようにすることです。仮定法については、こちらも参照してみてください。
「今さら聞けない? 仮定法の考え方 仮定法過去その1」

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