『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』というのが正式書名です。パート5(語彙・文法を問う短文穴埋め問題)に特化した問題集で、著者はTOEIC界隈では特に有名なTEX加藤さんです。1000問を超える問題をひたすら解いていく構成になっています。
Contents
『でる1000問』は何点になったら使うのが正解か?
まずこの問題集は難易度が比較的高いので、500点台以上かできれば600点を超えてから使うのが理想です。
それ未満の点数、例えば400点台だったりした場合、まず中学生の文法からやり直すほうがいいと思います。
僕もスタートは400点でしたが、そのときは受験でやった文法がかなり抜けている状態でした。
大学受験を経ていない、もしくは受験から時間が経っている場合、中学の文法からチェックし直すことをおすすめします。
仮にあなたが600点台の点数の場合、『でる1000問』を解き進めていく力は十分あると思います。
ただし、ここに載っている「品詞問題」の「実戦問題:発展編」の部分と「文法模試」(30問×13セット)は超がつく難問がそろっているので、その部分は飛ばしたほうが無難です。
この部分にはTOEICの本番で毎回2~3問程度出題される「難問」の類だけを集めたような問題がそろっています。
これを600点台(700点台でも同じ)のうちにやると、木っ端みじんに打ち砕かれて、モチベーションが続かなくなる可能性があります。
だから、その部分は飛ばして他の部分を往復するようにするのがいいでしょう。
欲張って、「実戦問題:発展編」と「文法模試」も往復すると答えだけで覚えてしまうということが起こり得ます。
TOEICのパート5は問題の「型」があります。
「実戦問題:発展編」と「文法模試」を抜いて往復するようにすれば、この「型」が自然と体に染み込んできます。
700点台は、この「型」を体に慣らしていく作業を繰り返せば十分届く点数で、800点の壁もこれで突破できるはずです。
『でる1000問』をただ往復しても点数は取れない!
800点を超えて900点を望もうと言うときにはじめて「品詞」の「実戦問題:発展編」、「文法模試」に手を出すようにしてみてください。
ただし、この部分は、それまでのようにただ往復するだけではダメです。
答えの根拠をしっかりとわかるようになって初めて、この問題集を使いこなせた、ということが言えます。
『でる1000問』の短い解説だけを読んでも、この根拠がわからないことがよくあります。
その場合は文法の参考書を使うことが必要となります。
僕の場合は『徹底例解ロイヤル英文法』を使いました。
この参考書はこの手の参考書のなかでは一番網羅性が高く、答えの根拠を知るためには不足がありません。
もし、この『徹底例解ロイヤル英文法』で敷居が高いと感じるときは『真・英文法大全』でもいいでしょう。
これは英語講師としてはたぶん日本で一番有名な関正生さんが書いた本です。
生徒が一番のお客さん、というだけであって英文法を教えることにかけては日本一ではないかと思います。
網羅性では『徹底例解ロイヤル英文法』に劣りますが、この本でも900点は十分に狙えます。
なお『徹底例解ロイヤル英文法』も『真・英文法大全』も一応基礎から説明はされているので、例え400点台であっても、読むことは可能です。
興味が続けばはじめからこれらの本を活用してもいいと思います。
それからkindle版であれば、断然『徹底例解ロイヤル英文法』がおすすめです。
「目次検索」はもちろん巻末からの「語句検索」も充実していて、どちらかを使えばほぼ目的の場所にすぐに飛ぶことができます。
また、関連文法同士のリンクも充実しており、デジタル版ならではの使いやすさが際立っています。
僕は紙の本もkindle版も両方持っていますが、今はkindle版ばかり使っています。
答えの根拠を知るとはどういうことか?
例えば、「品詞問題」の「実戦問題:発展編」には「worth」が答えになっている問題があります。
この答えの根拠は「worth(価値がある)を空所に入れると、補語になる形容詞句worth a
visitが完成する」という短い説明では十分とは言い切れません。
これは『徹底例解ロイヤル英文法』に載っている次のような説明も読んでおく必要があります。
形容詞のなかには目的語をとって前置詞のように働くものがいくつかある。ふつうの前置詞と違うのは、比較変化をし、veryで修飾できることである。(中略―引用者注) 代表的なものとしてlike, unlike, worth, nearがある。
この場合の「worth」はそもそも前置詞であるという認識が必要だということです。
しかもその前置詞が比較変化をすることがあり、さらに「very」で修飾することもある、という情報を入れて初めて、どんな聞かれ方をしても対応できるようになります。
こういうふうに理屈のところまで詰めておくことが、僕の言っている「根拠」の意味になります。
ほかにも「文法模試」のなかには「none」が答えになる問題があります。
「none」というのはめったに見かけないレベルの高い代名詞ですが、これが答えになると言う根拠は『徹底例解ロイヤル英文法』の
(no+先行の名詞)の意味で、可算名詞にも不可算名詞にも用いる。動詞もそれに従って単数・複数どちらでも可能
という説明を受けてはじめてわかります。
また『真・英文法大全』のなかの
可算名詞・不可算名詞両方に使える(単数・複数どちらも受けられる)
という説明もほかの選択肢ではなく「none」が答えだという根拠となり得ます。
答えの根拠をしっかり調べておかないと、出題の仕方を変えられたときに対応できなくなります。
もしあなたが、900点を前にして壁を感じている場合、ぜひ『でる1000問』の解き方を変えてみてください。
必ず点数をあげることができるはずです。
なぜ『でる1000問』なのか?
なぜ『でる1000問』が重要なのかと言うと、それはTEX加藤さんが書いた本だからです。
TEXさんは『でる1000問』のほかにも、『金のフレーズ』と『金のセンテンス』という一番精度の高い単語集を出しています。
『金のセンテンス』の冒頭に、見出し語をどうやって選んでいるのか説明しているところがあるので、引用してみます。
1、日韓で発売されている公式教材をテキストデータ化します。
2、そのデータを語彙分析ソフトにかけます。
3、単語を頻度順に並べ、リスト化します。
4、リストから機能語(冠詞や前置詞等)を除きます。
5、中学校の検定教科書を参考にして、中学レベルの単語を除きます。
6、アルクのSVL12000等でそれぞれの単語の難易度を数値化します。
7、TOEIC的な視点で難易度の数値を微調整します。
8、単語を頻度順・難易度順に並べ直します。
9、リストの上位から順に単語を厳選します。
10、「TEXファイル」から、本試験で出題された単語を加えます。
1~9の手順を追って、作っている問題集はほかにもあると思います。
ただし「10」のTEXファイルの要素は当然、TEX加藤さんの本にしか含まれません。
このTEXファイルというのは、著者自身が毎回の受験後に更新している蓄積データのことです。
過去に100回以上満点を記録している著者の蓄積データなので、お金を出してでも買いたいところです。
TEX加藤さんが書いた本というのは語彙の精度が高いので使えば必ず地力がつきます。
なお、パート5対策にばかり勉強の時間を取られることを不安に思う人もいるかもしれませんが、気にする必要はないと思います。
なぜなら、TOEICの点数アップで一番ものを言うのは語彙力だからです。
だから、語彙を強化することが実は一番点数アップの近道になります。
よく速く読めないのを気にしてパート7に特化した問題集に手を出してしまう人がいますが、ナンセンスです。
速く読めないのは、単に必要な語彙力がないからで、テクニックの問題ではありません。
また、今有効だとされる小手先の技術を身に着けても、常に問題が難化しているTOEICというテストの性質上、明日も同じようにその技術が有効なのかは誰にもわかりません。
事実2016年に問題が改定された際、それまで有効だとされた技術のほとんどは無効になりました。
そんなものを覚える暇があるのなら、語彙力を鍛えましょう。
ここに載っている語彙を丁寧に拾っていけば確実に速く読む対策にもなります。
『でる1000問』を使うことで結果としてリーディングの全てのパートの対策になるというのがとても大きなポイントです。
TOEICに必要な問題集は決まっている
ちなみに960点にまでなった僕が必須だと思うTOEICの問題集は
の3つです。
900点を狙うためにはこれ以外の問題集は必要ありません。
もっと言うなら950点を狙うためにも必要ありません。
事実僕は900点を取って以降もこの3つ以外の問題集を使っていません。
問題集にあちこち手を出して復習がおろそかになることが一番最悪です。
復習こそが勉強のことだ、という気持ちでこの3つに取り組めば必ず点数はあがります。
今回は『でる1000問』の話をしました。
ぜひ参考にしてみてください。
『公式問題集』の使い方についてはこちらをどうぞ。
TOEICの点数があがらない人にはいくつかの共通点があります。メルマガ登録用の特典記事ではまずその共通点をあげ、点数があがらない理由を解説しています。さらに、そのうえで使うべき問題集についても言及しています。
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●追伸
僕の勉強方法の全部をこの本の中で書いてあります。
よかったらどうぞ。
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TOEIC界隈で必須と言われている『でる1000問』について今回は書いてみます。
僕も800点を超えてから使い始めましたが、ただ往復するだけでは点数に結びつきません。
600点台の人、700点台の人、そして900点を目前にした人で微妙に使い方を変えなければいけないのがこの問題集です。
少し詳しく書いてみます。