2016年改定以後のTOEICの変化
TOEICは2016年に問題が改定され、このときに問題の構成、内容が大きく変わりました。
パート別の問題数の異同を表にしてみるとこうなります。
「※」で記したのが内容の変化になります。
旧テスト | 新テスト(2016年以降) | |
---|---|---|
パート1(写真描写問題) |
10
|
6
|
パート2(応答問題) |
30
|
25
|
パート3(会話問題) |
30
|
39
※図表を見ながら答える問題が加わる |
パート4(説明文問題) |
30
|
30
※図表を見ながら答える問題が加わる |
パート5(文法穴埋め) |
40
|
30
|
パート6(長文文法穴埋め) |
12
|
16
※文章挿入問題が加わる |
パート7(長文) |
48
|
54
※トリプルパーセージが加わる |
※数字は問題数
リスニングについてはパート1の「写真描写問題」とパート2の「応答問題」が減ってその分パート3の「会話問題」が増えました。パート4の問題数自体は同じですが、図表などを見て答える問題が追加されました。
パート1は基礎的な問題が並ぶことが通常なので、そのパートが減って別のパートが増えたというのは一つの難化です。
また、パート3、4に図表を見ながら答えなければならない問題が加わったというのも当然難化の一つです。
リーディングに関しては、「短文で文法を問う問題」が減って、「長文で文法を問う問題」と「長文問題」が増えました(パート5が減ってパート6、パート7が増えた)。
さらに「長文で文法を問う」パート6にはそれまでなかった「文章挿入問題」が加わり、文章全体を把握しないと答えにくい構造になりました。
極めつけはパート7の「トリプルパッセージ」で、3つの文章を読んで答えを導き出さないといけない問題が新たに加わりました。
リスニング、リーディングともに文章量が増えたうえ、文章全体を把握しないと答えられない問題が基本となっており、全体の難易度がこの改定によって上がりました。
TOEIC講師として有名な中村澄子さんは、その著書のなかで「TOEICを10年ぶりに受けたというような人は当時持っていた点数より200点以上点数を下げてしまい、4年ぶりでも100点以上さげる、というのが普通になった」という意味のことを書いています(『1日1分 TOEIC(R) L&R テスト 炎の千本ノック2 』)
2016年の改定によってそれまでの点数がほぼ無効になったと言ってもいいような変化だったわけです。
2021年以降のTOEICの変化-リスニングの変化について
こういう2016年の変化があった後、2021年を境にしてさらなる難化の傾向がはっきりしてきました。
特に目立つのがリスニングの難化です。
僕はこのブログで最新の『公式問題集』を解くことで最新のTOEICの傾向がわかる、と繰り返し言ってきました。
リスニングの難化傾向というのは、2020年以降に出版された3冊の『公式問題集』を解き比べてみるとはっきりします。
僕がこの3冊を初めて解いたときのリスニングの正解数を表にしてみるとこうです(カッコ内の「R」はリーディングの正解数です)。
公式問題集6 | 公式問題集7 | 公式問題集8 | |
---|---|---|---|
Test1 | L96(R77) | L88(R86) | L90(R90) |
test2 | L96(R81) | L93(R89) | L93(R89) |
リーディングの伸びが顕著なのにも関わらず、リスニングは停滞しているのがわかると思います。
難化の傾向がはっきり見て取れるのは『公式問題集8』です。
『公式問題集6』を解いたときにはパート3と4の問題で全体の方向性を見失って迷子になるということがなく、すべて何について話しているのかは把握することができました。
それはその前後に受けた本番の試験でも同じでした。
(ちなみに『公式問題集6』を解いた直後の試験で915(L480/R435)点になりました)
ところがこの『公式問題集8』ではまず頭から何について話をしているのか把握できず断片の情報だけで判断した問題が「2セット」(=6問分)もありました。
細かく復習してわかったことは
TOEICでほとんど見たことがない単語が使われていて、さらに今までになかった「状況」が問われている問題がある
ということでした。
TOEICで典型だと言われている問題とは違うものが出題されているということなら、正解できない可能性がぐっと高くなります。
それまでの問題が比較的過去に忠実だったので、この変化というのはTOEICからのメッセージと取っていいように思えます。
つまり状況把握しづらい問題を必ず挟んでいくというメッセージと取れるということです。
テクニック本に手を出さないほうがいいわけ
僕はこのブログを通じてテニックに特化したような本に手をだすのは時間の無駄だからやめたほうがいいと、繰り返しいってきました。
それはこういうTOEICの変化を知ればよりはっきりすることだと思います。
今有効だとされるテニックが半年後に同じように通用しているのかは誰にもわかりません。
事実2016年の改定前に有効だとされたテクニックのほとんどは改定後無意味なものになりました。
例えばパート7(リーディングパートの長文問題)の設問に対する答えは上から順番に「必ず」出てくるから、設問→問題文の順番に読めば時間の節約になる、などと公然と言われてきました。
ただ、このテクニックは改定後にほぼ全否定されました。
そもそも設問の答えが上から順番に出てくることがなくなり、また全体の文章を把握していないと解答できない問題が増えたからです。
基本的に全ての文章に目を通すことが必須になったので、最後のほうの文章は捨てていいなどという助言もすっかり見なくなりました。(以前はこういうことを言う人が多くいました)
明日通用しなくなる可能性があるテクニックなど学んでもなんの足しにもなりません。
ここ最近のリスニングの難化は、そのたぐいの小手先の技術を鍛えても点数は取れないというTOEICからのメッセージでもあるように思えます。
対策はこれ以外になし!
僕は2022年5月29日のテストでリスニングが満点になりましたが、その時に書いた記事でも触れたとおり、リスニングが聞こえない原因というのは、
- 単語や文法を知らないから
- 音のつながりを認識できていないから
- アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアで発音が違うことがありその音を認識できていないから
という3つです。
このうち僕の経験上最も大きな「聞こえない原因」は単に単語や文法を知らないからというものです。
例えば『金のフレーズ』に入っている単語を半分も理解できていないのであればまずは、そうした単語を頭に入れる必要があります。
こういう知識不足ももちろん大きな原因の一つです。
ただ「知らない」というその中身はそれだけではありません。
その単語の意味も音も認識できるけれど「別の意味を知らない」というのも単語を知らない、ことに当たります。
日本語で「クレーム」と言えば、「商品やサービスなどに対して文句を言うこと」を意味しますが、「claim」と英語になると「権利などを主張する」という意味になります。
この「主張する」が転じて「baggage claim」となれば「空港の手荷物受取所」という意味になります。
また、「claim one’s baggage」だったら「(空港などで自分の手荷物を)受けとる」、「取りに行く」という意味です。
こういう意味を知らなければ結局はその単語を知らないということになります。
だからこういう「知らない」を含めて単語や文法を鍛えていく必要があります。
結局は点数アップは地道な作業でしかなく、これだけやっておけばOKという甘い話に真実はありません。
今回はTOEICの難化についてお話してみました。
なお、リーディングパートについては大きく難易度が変わったという実感はありません。
こちらでおすすめの本を挙げているので、対策の助けにしてみてください。
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●追伸
ただ読み切れないからと言って、速く読む訓練をやみくもにしても絶対に点数はあがりません。
地道にがんばる以外に方法はないというのは実は塗り絵対策も一緒です。
TOEICは2016年に問題が改定され難易度が上がりました。
この誰の目に明らかな難化から時間がたって2021年前後にさらにリスニングの難化が進んだという話がされています。
今回は難化傾向にあるといわれているTOEICのその難化の中身について書いてみたいと思います。