- 「can」「could」「should」「would」「must」などの助動詞を網羅的にわかりやすく解説してあります
- 「丁寧の程度」の違いや「確率」の違いなどを比較しているので、各助動詞の特徴がよくわかるようになっています
助動詞のニュアンスがわかります
「can」「could」「may」「might」「should」などの助動詞を見るだけで「いや❤」と身構えしてしまう(少なくとも僕はかなり身構えてしまいます)理由として主にあげられるのはこういうものだと思います。
- 「should」=「すべき」など画一的な意味が刷り込まれてしまっているから(だからほかの意味が出てきたら「いや❤」となる)
- 学校では仮定法の重要性をあまり教えないから
- 辞書を引いても全体象をつかみにくいから(だからしょっちゅう「いや❤」となる)
僕は、「should」という助動詞は「すべき」と当てておけばとりあえずよし!と中学生のときに教わりました。
今でもそのように教えているかは不明ですが、まだ心が柔らかいころ(にされる刷り込みというのは無意識のうちに大事にしてしまうものです。
確かに「should」として「すべき」というのは遠からずのところを説明しているようにも思えます。
ただ「すべき」と日本語にしたときの義務的な意味、命令的な意味はそもそもないと、この本では教えてくれます。
Shouldを「…すべきだ」「…しなければならない」という「強い義務」の意味でとらえている人が多いようですが、ネイティブからすれば、shouldにそれこまで強い命令的なニュアンスはありません。
この本ではさらに「すべき」という日本語を英語の助動詞で表そうとしたときに、7つ候補があるとして、それぞれのニュアンスを説明してくれています。
You might apologize to him.
彼に謝ってみてはいかがでしょうか。※丁寧だが、丁寧すぎて嫌味に受け取られる可能性もある。
↓
You could apologize to him.
彼に謝ったらどうでしょう。※謝るという選択肢もある、というやんわりした提案になる。
↓
You should apologize to him.
彼に謝ったほうがいいよ(しないだろうけど)。※個人的な忠告に聞こえる。
↓
You ought to apologize to him.
彼に謝ればいいのに。※やや客観的な忠告に聞こえる。
↓
You had better apologize to him.
彼に謝ったほうがいい(そうしないと大変なことになる)。※警告的なニュアンスに聞こえる。
↓
You have to apologize to him.
彼に謝るべきだ。※客観的な注意に聞こえる。
↓
You must apologize to him.
彼に絶対に謝らなくてはいけない。※命令に聞こえる。
「すべき」という日本語に当たる助動詞は7つあり、丁寧な度合いが違うということを知れば、より深い理解が得られるはずです。
辞書ではつかみにくいこうした横断的な比較を提示してくれるというのがこの本の最も大きい特徴です。
「should」=「すべき」などという画一的な意味の刷り込みから解放してくれるでしょうし、「辞書を引いてもつかみにくい全体像」を提示もしてくれます。
様々な比較をしてくれるのでより理解が深まる
助動詞によって「程度」が違うというのは「依頼表現」にも言えることです。
相手に対して、お願いするときにまずあなたが頭に思うのはどんな表現ですか?
いきなりCan you~?が浮かびますか? もっと丁寧にWould you~?ですか? 状況と相手によってその使い分けが頭に浮かんだ人もいらっしゃると思います。
その「状況と相手によってどう使いわけるのか」というのもこの本で確認できます。
「窓を開けてほしい」と頼むときより気軽な(丁寧ではない)順番に並べるとこうなるそうです。
Will you open the window?
窓を開けてくれる?※親しい間柄で使う言いまわし
↓
Can you open the window?
窓を開けられる? ※親しい間柄で使う言いまわし
↓
Would you open the window?
窓を開けてもらえますか? ※丁寧な言いまわし
↓
Could you open the window?
窓を開けていただけますか? ※丁寧な言いまわし
↓
Would you mind opening the window?
窓を開けていただいてもよろしいでしょうか?
※丁寧すぎて場合によってはやや失礼にも聞こえる言いまわし
Would you mind~?とすればとっても丁寧な言い回しになるので、日本人にはぴったりだとどこかの番組で説明されているのを以前聞いたことがあります。
そういう側面もあるものの、使う状況によっては嫌味になるかもしれないというのも覚えておいて損はなさそうです。
他にも可能性の表現に使える助動詞は主に5つあって「可能性の低い順」に示すとこうなるそうです。
今度は雨が降る確率を表わした文章です。
It could start raining.
雨が降り出す可能性がある ※雨が降る可能性があるものの、その確率は低い。
↓
It might start raining.
ひょっとして雨が降り出すかもしない。※雨が降る可能性はcouldより高いが、まだ不確実な要素のほうが多い。
↓
It may start raining.
雨が降り出しそうだ。(たぶん降る)。※降るか降らないかでいえば、降る確率のほうが高い。
↓
It should start raining.
雨が降り出すはずなのに。※降ると確信していたが、そうでなかった場合の表現。
↓
It must start raining.
雨が降り始めるに違いない(間違いなく降る)。※雨は間違いなく降ると確信し、「降らないと困る」くらいのニュアンスになる。
「could」と「might」の可能性の違いまで意識できている人はなかなかいないと思います。
こうした表現に出食わした段階でこの本の戻って、もう一度説明を聞くときっと色々な文章が腑に落ちるはずです。
ちなみにここで使われている「should」の表現は僕にはなじみのないものでした。
ただ、この説明を聞いてから、読んだ次のような文章は、すんなりと文意を受け取ることができました。
“We should have been like this to begin with,” she whispered after they had moved from the sofa to her bed. “But you didn’t get it. You just didn’t get it. Not till the salmon disappeared from the river.”
「私たちは最初からこうなるべきだったのよ」、ベッドに移ったあと、小夜子は小さな声でそう言った。「でもあなただけがわからなかった。何もわかっていなかった。鮭が川から消えてしまうまで」
村上春樹の『神の子どもたちはみな踊る』という短編集の中に入っている『蜂蜜パイ』の英訳からの引用です。
大学の同級生で友人でもある小夜子、高槻、淳平という3人の三角関係を描いた物語ですが、高槻と別れた小夜子が淳平に対して“We should have been like this to begin with,”と伝えます。
このときの「should have」の意味はこの本を借りると「過去の行動を悔やむ表現」となります。
この説明に従えば、高槻と離婚した小夜子が淳平とキスをしたあとに「初めから二人はこうなるべきだったのに(そうしなかった)」と過去を悔やんで言ったということになります。
英訳ですから、日本語の全体的なニュアンスをくみ取って訳者が「should have」と当てたわけです。
I’ll と I’m going toとの具体的な違いは?
細かい部分でいうと以前このブログでも紹介した「I’ll」 と「I’m going to」の違いもこの本で非常にわかりやすく説明されています。
「I’ll」 と「I’m going to」はともに未来の予定を表わす表現ですね。
両者の違いが会話表現を通じて実にうまく説明されています。その部分を引用してみます。
A: I’m going to (go to) the convenience store. Do you need anything?
B: We need some fruits and vegetables.
C: OK, I’ll go to the grocery store.
日本語訳はこうです。
A:コンビニに行くよ。何かいる?
B:果物と野菜がほしいの。
A:わかった、じゃあ食料品店に行くよ。
「I’m going to~」というのは「あらかじめ予定していたこと」を表わします。
一方で「I’ll~」は「その場で決めたこと」に対して使います。
コンビニに行く予定を持っている人(=あらかじめて予定していた)が野菜が必要だと言われたので「grocery store」に行先を変更した(=その場で決めた)という、心の変遷を通して「I’m going to~」と「I’ll~」の使い分けがうまく説明されています。
こういう説明を受けた後だとこういう文章というのも、なんで「I’m going to~」と「I’ll~」が使い分けられているのかうっすらとわかってきます。
“What the hell,” he said in his positive way. “I’m going to be a newspaper reporter, so I’ll let them teach me how to write.”
「でもかまわない。新聞記者になるつもりだから、ここで文章の書き方を覚えよう」と彼は前向きに言った。
さっきも引用した『蜂蜜パイ』のなかの一節です。本を読むこと自体が好きではない高槻が大学の文学部に受かってしまいます。
でも新聞記者になるつもりなので、書き方を習うつもりだ、とそれを肯定的に利用しようとして宣言した場面です。
新聞記者になるというのはあらかじめ決めていたことです。
だから「I’m going to」です。
そして表現を習うことは大学の文学部を受かってからその場で決めたことです。
だから「I’ll」を使っているわけです。
こうした細かい使いわけがTOEICで直接質問されることはないと思います。
ただし、英語の細かいニュアンスまで把握していることは高得点をねらう上ではとにかく大切になってきます。
この本では「can」と「be able to」の違いなど日本語にすると同じになる表現が具体的にどう違うのかも教えてくれます。
助動詞を制するものは仮定法を制する
最後に仮定法についてもふれておきます。
僕は助動詞の表現がわかりにくいのは「学校では仮定法の重要性をあまり教えないから」だと、初めに書きました。
仮定法というのは本当に簡単に言ってしまうと、現実ではないことを前提にしたときにする表現(とその表現をするにあたってのルール)です。
例えば
If Paulie had been making more money, he might have been able to resist the blandishments of the wily Turk, Sollozzo.
もしポーリーがもっと金を稼いでいたら、狡猾なトルコ人ソロッツの甘言に応じなかったかもしれないのだ
THE GODFATHERより引用
のように「If」を頭につけて表現するのが普通です(この文章は実際は金を稼いでいなかったので狡猾なソロッツの甘言に乗ってしまったという事実があります)。
この仮定法がなんで助動詞の理解をより難しくしているのかというと「If」を付けずに助動詞だけで仮定法を表現することが多くあるからです。
助動詞そのものが仮定法だという意識まで教えていないのでIfのない形になったときに苦労してしまうわけです。
いきなり「I’d check in the break room.」(『TOEIC公式問題集2』)などと表現することも結構あります。
これを「え~willの過去形のwouldが使われているから」などと考えていたら日が暮れてもなお意味は取れません。
「I’d check in the break room.」で「私だったら休憩室を調べます」という意味です。
つまりこの文章は「If I were you」(私があなただったら)という前提となる文章が抜けているのです。
これはTOEICでもよく見かける助動詞の普段づかいです。
「would」には仮定法のニュアンスがあると考えるとなんで「would」がより丁寧に相手にものをたずねる言い方になるのかもわかってきます。
もしよろしければという仮定をクッションに置いているからです。
仮定法をより深く勉強することで助動詞の理解もより深まります。
もちろんこの本のなかには同様の指摘があります。
この本の説明は僕が書いている説明のように回りくどくなく、はっきしりしないところもありません。
助動詞を勉強する教科書的な役割にも耐えられます。
ぜひ試してみてください。
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●追伸
- 勉強の時間を絞り出す
- 適切な問題集を選ぶ
- TOEICの特徴に精通する
という3つのことが必要になってきます。
中でも特に重要なのが「TOEICの特徴」を知るということです。
実際僕はこの「TOEICの特徴」がわかってから勉強に対する迷いがなくなり900点まで駆け抜けることができました。
特徴を知ればどこに勉強の圧をかけるべきなのかすぐにわかります。
圧をかける場所を間違わなければ、必ず点数はあがります。
先日書いたkildleunlimitedの活用方法のなかで僕はデイビッド・セインの『マンガでわかる』シリーズを全巻買ってkindleに入れてあるということを書きました。
今回はこのシリーズに先行して発行された『ネイティブが教える』シリーズの『ほんとうの英語の助動詞の使い方』を紹介してみたいと思います。
『ネイティブが教える』シリーズはほとんど『マンガでわかる』シリーズにテーマが引きつがれていますが、この「助動詞」だけは『ネイティブが教える』シリーズでしか読めません。
日本人が嫌いで僕もいつも苦戦する「助動詞」の感覚を解説してくれる本としてとても貴重だと思います。
見どころを紹介しつつ全体の感想を書いてみます。