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1位 日本人の英語/マーク・ピーターセン
この本に書かれている文章はこの稚拙な文章を書いている僕のものよりもうまく、もしかしたらこの稚拙な文章を読んでいるあなたよりうまいかもしれません。
まず、このような文章が日本語を母国語としない人の手によって書かれたものだということに驚愕するはずです(少なくとも僕はしました)。
最もページが割かれているのが「冠詞」についてです。
僕はここまで明快に「冠詞」について書かれた文章をほかに知りません。
そして「文法書」に載っている冠詞の説明がいかに適当で的を得ないものであるかをはじめて知りました。
「aというのは、その有無が一つの論理的プロセスの根幹となるものであって、名詞につくアクセサリーのようなものではない」とは著者の言葉です。
英語を誰に習うか迷っている人はこの著者の本をすべて読破しましょう(僕はしました)。
ネイティブが説明する英語文法の最良の一つで、日本人の英語学習者必読の書です。
『日本人の英語』の続編です。
ここでも「冠詞」について一番ページが割かれています。
映画、小説などのセリフ、文章に落とし込んで説明されている箇所が多いので、より著者の意図がわかりやすく伝わるように工夫されています。
「my friend」という言い方は日本人にとってなじみの深いものですが、状況によっては極めて不自然で稚拙な表現になりえます。
その最も説得的な理由がこの本に載っています。
ちなみに、僕は一時期年間100本程度は観るプチ映画オタクでしたが、その私が知る限り「my friend」と使ったのは子供のころのアナキン・スカイウォーカーだけでした(『スターウォーズエピソード1』)。
前置詞、時制、使役動詞といった文法に関しても面白く読ませます。
2位 英文法、ネイティブが教えるとこうなります/デイビット・セイン 森田修
マーク・ピーターセン以外のネイティブであればこの人から習いましょう。森田修氏との共著の形で、日本の学習者が感じる文法の「なぜ?」を丁寧に解説してくれます。
この本を読めば日常会話で使うリストから「had better」は完全に消去されると思います。
「must」と「should」の違い「some」と「any」の違いなどの疑問にとても丁寧に答えてくれます。
続編の『英文法、ネイティブがもっと教えます』もあわせて通読すれば下手な文法書に手を出すよりもよっぽど文法が「腑に落ちる」はずです。
もちろん実用的ですが、むしろ「この日本語は英語でこう表現するんだ!」という面白さのほうが先に来ると思います。
「ちゃんと聞いているよ」が「I’m all ears.」。
「連絡を取り合いましょう」が「Let’s keep in touch.」。
一度聞いたら忘れないフレーズばかりです。
古本では高値で取引されているのを見かけます。
今ならなんとKindle Unlimited(月額980円で読み放題のサービス)でこのシリーズの全巻を読むことができます。
これだけで980円の元は十分にとれるはずです。
こういう人間にとってKindle Unlimitedは神アイテムの一つです。
僕が読破した『ネイティブはこう使う! まんがでわかる』シリーズも今は全巻が読み放題の対象になっています。
またTOEIC関連で言えば、『TOEICL&Rテスト至高の模試600問』という良質な問題集も対象です。
ほかにも関正生さんの『カラー改訂版 世界一わかりやすい英文法の授業』も読むことできます。
月額980円で対象になっている本が読み放題になるのですから、2冊読んだらほぼおつりがくると考えてよさそうです。
個人的にはTOEICの点数アップのために必須のサービスだと思っています。
3位 越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文/越前敏弥
「英語自慢の鼻をへし折る!」というのが帯についているコピーです。僕はこの本を移動中の余暇として楽しみましたが、確かに900点を取って少し高くなった鼻を完全につぶされました。
通読すれば、英語の足腰がいつの間にかとても強くなっていることに気づくと思います。
問題文(英文)が並び、後で解説が入るという形で構成されているのでとても読みやすい作りになっています。
ちなみに著者は大学で蓮実重彦(元東大総長、批評家)の薫陶をうけたそうです(フランス語と映画の授業を受けたそうです)。
先日カンヌを取った黒沢清もハスミストと言えばハスミストでしょうから、あなたがもし日本映画を愛するシネフィル(映画オタク)であればぜひ挑戦してみてください。
4位 サバイバル英文法/関正生
日本人英語講師の第一人者と言えば、やっぱりこの人です。さまざまある著作のなかで私はこの本が特にいいと思いました。
「おいしい部分」だけを贅沢に集めたようなつくりになっています。
「感情動詞」、「文型」、「クジラの構文」「be to構文」の説明でこれ以上のものを私は知りません。
軽い読み物の作りになっていますが、受験生にもTOEIC受験者にも役立つ内容です。
難しい言葉を一切使っていないので、英語を勉強し始めた方も得るところがあるはずです。
5位 English Grammar in Use/Raymond Murphy
英語の文法を英語で説明している本です。こう書くとハードルが高い本に聞こえそうですが、平易な英語で説明されているので、TOEIC600点くらいあれば十分に読みこなせるものです。
僕はTOEIC900点の近道は英語を英語で説明している辞書(=英英辞典)に親しむことだと思っています。
易しい英文なので息抜きぐらいになるかな、と手を出しましたが思いのほかTOEICの点数にも結び付きました。
Raymond Murphyの本は様々ありますがこの本が一番充実しています。
6位 英会話なるほどフレーズ100/スティーブ・ソレイシィ ロビン・ソレイシィ共著
例えばバスケットボールをしていてリングを狙ったボールがおしくも外れてしまったときにあなたなら英語でどう表現しますか? 日本語であれば「おしい!」と言いたいところです。この本に載っている答えは「almost!(おしい!)」です。
「ネイティブなら子供のころに身に着ける表現」というキャッチフレーズが付いているので、簡単な表現が並んでいますが「おっ!」という驚きにも出会える面白い本です。
続編の『英会話きちんとフレーズ100』と合わせて読破しましょう。
初めはここに並んでいる表現さえも瞬時に出てこないはずですから、スタート地点として最適の本です。
ここに載せたもののなかではなんと言ってもマーク・ピーターセン氏の本がダントツです。
この人はあの有名な文法書である『ロイヤル英文法』の共著者として参加もしています。
特に『表現のための実践ロイヤル英文法』ではすべてのコラムを執筆しています。
『日本人の英語』などの本を読んで面白いと感じたら、こうした文法書に手を出してみるのもいいかもしれません。
ちなみに僕はTOEIC900点を達成したときに『文法問題でる1000問』(TEX加藤著)の補助本として『ロイヤル英文法』を活用しました。
900点達成時の問題集についてはこちらをのぞいてみてください。
今回は空き時間に読んだ本で面白かったものを紹介してみようと思います。
だいたいTOEIC850点を越えた2019年からTOEIC900点を達成した2020年までの間に読んだものを集めてみました(出版時期はバラバラです)。
もちろんただの読み物以上のものを得ることができるものばかりです!