カルロス・ゴーンの声明は本当に無茶苦茶な理屈なのか?

高橋
こんにちは高橋です。
今日は、ニュースになっているあのカルロス・ゴーンが出した声明を取り上げてみます。英語の声明がどういう言葉を使って出されたものなのか、じっくり見てみましょう。英検の試験では人権問題は特に作文では必須となります。このゴーンの声明を考えるきっかけにしてみるというのもいいかもしれません。さっそくいってみましょう!

 
 

カルロス・ゴーンの声明を日本語にしてみました。

ウィッキー三世
ゴーンの声明についですか?
乱三世
英語を書き出してその下に日本語も付けたからまずこれを見てみよう。

 
 

Statement from Carlos Ghosn

I am now in Lebanon and will no longer be held hostage by a rigged Japanese justice system where guilt is presumed, discrimination is rampant, and basic human rights are denied, in flagrant disregard of Japan’s legal obligations under international law and treaties it is bound to uphold. I have not fled justice― I have escaped injustice and political persecution. I can now finally communicate freely with the media, and look forward to starting next week.
私は今、レバノンにいます。もはや不正に仕組まれた日本の司法制度の奴隷ではなくなります。日本の司法制度は「推定有罪」で、差別が公然とはびこっていて、基本的人権が否定されており、国際法・条約で守られるべきだとされている自国の法的義務をひどい状態で無視しています。私は正義から逃げたわけではありません。不正義で政治的な迫害から逃れたのです。今日からやっとメディアと自由にコミュニケーションを取ることができます。来週から始められることを楽しみにしています。

※hostage人質
※rigged不正に仕組まれた、八百長の
※rampant(恐ろしいほどに)蔓延した、凶暴な
※deny否定する、拒絶する
※flagrant素行、状況などが目に余る、ひどい
※disregard~を無視する、無視
※legal obligation 法的義務
※treaty(国際間の)条約、合意
※bound縛られた、(法律や義務によって)束縛された
※uphold(法律、制度などを)支持する
※persecution迫害

※声明は朝日新聞のデジタル版より孫引きしました
※日本語訳は高橋がつけました

 
 

ウィッキー三世
日本の司法制度の痛烈な批判になっていますね。
乱三世
いつものように少し細かく見ていようか。まずは「a rigged Japanese justice system」なんていきなりかましているけど「rig」ってどういう意味?
ウィッキー三世
「(選挙、試合などで)不正操作をする」ってことですね。
乱三世
「八百長」だってことだな。日本の司法制度は「八百長」がまかり通っているということだ。つまり「guilt is presumed」だっていうんだな。これは「推定有罪」なんて訳を当ててみたけど、司法の前提から外れているというのが主張なわけだ。
ウィッキー三世
推定無罪ではなく推定有罪(笑)。
乱三世
まあ、笑いごとではないけどな。「presume」はTOEICでもよく出ると思う。どんな意味?
ウィッキー三世
「推定する」とか「仮定する」っていう意味ですね。
乱三世
だから「guilt is presumed」「有罪を前提としている」ということだ。ほかにも「discrimination is rampant」だと言っている。
ウィッキー三世
「差別が蔓延している」ってことですか。
乱三世
「rampant」っていうのは「はびこっている」という意味だな。これは念のため辞書(Collins coubild)で引いてみるとこんな風に説明してある。

 
 
If you describe something bad, such as a crime or disease, as rampant, you mean that it is very common and is increasing in an uncontrolled way.
 
 

乱三世
犯罪や病気、悪いことが、どんどん増していて、コントロールできない状態だっていうわけだ。一応確認しておくけど、ゴーンは何を非難しているんだった?
ウィッキー三世
日本の司法制度ですよね。
乱三世
「discrimination is rampant」として「差別がコントロールできない状態である」っていう風に言っているということだ。我々はとんでもない国の住人だってことになるな。次は「basic human rights are denied」だ。
ウィッキー三世
「基本的人権が無視されている」くらいですか。
乱三世
「deny」っていうのは?
ウィッキー三世
「否定する」とか「拒絶する」という意味ですね。
乱三世
そう。「拒絶する」っていうのは「refuse」と同義語になる。この国は「差別が蔓延していて」しかも「推定有罪」という恐るべき司法制度でその上、民主主義の国では大前提となる「基本的な人権を拒否している国だ」ってことだ。お前ヘルメットなんか被って調子こいていると、塀の中に落とされるかもしれないよ。
ウィッキー三世
ヘルメット被って捕まるんだったら、工事現場の人はみんな、刑務所行きじゃないですか。
乱三世
でもそういう国なんだろ? 日本って。政治的な案件であれば鼻くそほじってたって塀の中に落とされる国だから、こんな痛烈な批判がされているんじゃないの?
ウィッキー三世
テレビや新聞を見たら、「なんで犯罪者をむざむざ逃したんだ」っていう前提で話しているものが結構ありましたよ。
乱三世
でもゴーンは「international law and treaties it is bound to uphold」(守られることが義務の条約や国際法)が日本では守られていないって言っているよ。「treaties」っていのは「treaty」の複数形だ。要するに「国際条約」ってことだな。
ウィッキー三世
「it is bound to uphold」(守ることが義務づけられている)という条約や国際法を守っていない、ということですね。でも逃げるっていうのはすごいことですよね。
乱三世
「正義」(=justice)から逃げたわけではなくて、日本の司法制度の「不正義」(=injustice)から逃げたんだって言っているよ。あと政治的な迫害から(→I have not fled justice― I have escaped injustice and political persecution.)。ちなみに「fly justice」なんてちょっと恰好いい表現が使われている。飛行機でレバノンに行ったからその「fly」にかけているのかもしれない。
ウィッキー三世
この場合の「fly」っていのは、その後に出てくる「escape」と同じ意味ですよね。
乱三世
そうね。とにかく、来週からはマスコミとやり取りするつもりらしいから、世界に向けて自由に発信していくということだな。
 
 

とりあえず人権に関して考えるきっかけにはなる?

ウィッキー三世
さっきも言いましたけど、新聞やテレビでは「犯罪者が逃げた」っていうのが前提となっているものが多いようですよ。
乱三世
英検なんかだと人権に関する意見なんて必ず聞かれるから、考えるきっかけにするのはいいかもしれないよ。そもそも家族との接見も許さず、弁護士のみの接見に限定して長期間拘留するっていうのは欧米の基準で言えば「拷問」なわけだな。しかも否認すれば外務省のラスプーチン(佐藤優氏)のように512日も勾留される可能性があるっていうのはちょっと尋常じゃないと思うけどどう?
ウィッキー三世
取り調べをするのには時間が必要でしょう?
乱三世
でも佐藤優氏の『獄中記』を読むと裁判のストーリーが決まったあたりからほとんど取り調べ自体がなかったって書いてあるよ。特にこの人鈴木宗男現参議院議員に連座して捕まったわけだろ?必要がなくなったのに、政治的な理由で自由を束縛しているんだったら、それこそゴーンが言っているように人権問題だと思うけどどう?
ウィッキー三世
うーん……。政治的な迫害ってゴーンが強調していることですよね。
乱三世
ある特定の権力者の恣意的な感情や意見がまかり通ってしまうようなシステムっていうのは本当に怖いと思うけどこれはどう?
ウィッキー三世
日本の司法制度はゴーンが言う通り、不正義がまかり通っているところだって言いたいんですか?
乱三世
そもそもの前提として、法律っていうのは憲法を補足するためにあるものなんだな。では憲法っていうのはなんのためにあるかといえば、権力者を束縛するためにあるものだ。それこそゴーンが声明の中で使っているbind(過去形がbound)が必要だということだ。なんで権力者が束縛(bind)されなければならないかって言ったら、日本の戦時中を考えればはっきりするはずで、「こんな戦争無茶苦茶だ」なんていう意見が特高に聞こえたらどうなったのかということだな。
ウィッキー三世
まず拘束されたでしょうね。
乱三世
拘束されて拷問されて、それでも考えを変えなければ小林多喜二のようになってしまう可能性だってあったわけだ。基本的には誰に何を言っても自由を奪われることはないし、命を取られることはない、っていうのは民主主義の前提でなければいけないはずだろ。もし、ある特定の権力者の意にそわないという理由だけで逮捕されるなんてことがまかり通るんだったら、どんな口実を付けても塀の中に落とされるってことになってしまう。
ウィッキー三世
それこそ鼻くそをほじってでもですか。
乱三世
まあ、とにかく仮にゴーンの言っていることはまったくのでたらめで、日本の司法制度は世界に誇るべきものであり、また、今回のゴーンへの扱いが「国際条約」に照らして不当なものではないのであれば、堂々と国際社会に向けて主張すればいいだけの話だろ? このゴーンの件はとりあえず人権について、日本の司法制度について考えるきっかとしてみてもいいと思うよ。
ウィッキー三世
日本国内だけでなく世界の意見と対峙していくということですか。
乱三世
なんら恥じることもなく、不当なことがないんだったら堂々と主張していけばいいだけだろ? 一つ大事なことを言っておくとすると、日本人としてこうした件を考えるときに日本国内の報道だけではなくて、英語の報道も必ず拾っておくということだと思う。特に新聞やテレビの報道に触れるときは注意が必要になると思う。
ウィッキー三世
英語のブログだからそこにも触れておかないと、ということですか。
乱三世
全然違うよ。ニーチェっていう哲学者が「神は死んだ」って言ったけど、あれは別に衒学的な発言ではないわけだ。要するに第三者的な立場で物事を裁断する「場所」は失効したんだ、ということを表現しているだけなんだな報道の客観性とか客観的な報道なんてあるわけがないんだ。人間は「神」じゃないんだから。
ウィッキー三世
それが「神は死んだ」という比喩で語られているということですか。
乱三世
情報を拾う上で大事なことはメディアリテラシーだということだよ。その報道が誰の利害を代表したものなのか考える力をつけておくということだ。だから日本の報道のみではなくて、違う利害関係の中にある海外の報道も参照する必要があるということだな。物事を判断するには、今の日本の報道だけでは本当に危険だと個人的に思うけどどうかな?
ウィッキー三世
それは読者にゆだねたほうがいいんじゃないですか?
乱三世
そうしようか。今日はここまで。

 
 
少しでも面白いと思ったら「いいね!」の感覚でクリックしていただけると嬉しいです。↓
にほんブログ村 英語ブログ TOEICへ
にほんブログ村

高橋
TOEICスコアアップに役立つ13分の動画を期間限定でプレゼント中です!

私が働きながら半年で300点の得点をUPさせた際にやったことの全てを網羅してあります。
ブログでは書かなかったことを具体的なコンテンツ名を上げて解説しているのでぜひプレゼント中にお受取りください!
(プレゼントは予告なく削除することがあります)↓ここをクリック

●追伸

高橋
今日は本当に初めてといっていいほど時事ネタを取り上げてみました。ゴーンが言っていることの真偽を確かめるという作業も大事ですが、同時に英語を勉強する意味というのも点検してみてはいかがでしょうか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です