

おっ大将! こりずに来ているな。

昨日の続きですよね。

そう。公式問題集から引用したところでいったん終わりにしたからそこからだな。今日は。

少し問題を解くためのテクニックみたいな話にもなってくるんですか?

つまんない話だけどそう。昨日は「complete」の意味を村上春樹の「1973年のピンボール」なんかを引用して解説したあと、最後に「entire」「whole」「complete」という類義語の中から答えを選択する問題を掲載したわけだな。まずその問題をもう一度引用してみよう。
The Kwon Group employee handbook contains_____information about payroll, benefits, and terms of employment.
(A)every
(B)entire
(C)whole
(D)complete
※日本語訳=Kwonグループの従業員ハンドブックは、給与、手当、雇用条件に関するすべての情報を含んでいます。

問題のための問題みたいな話だよな。

でもこういうのはいきなり出されると嫌でしょうね。

まず、解答から明らかに外せる単語があると思うけどそれはどれ?

「every」ですね。

なんで?

「every」は原則、可算名詞の単数形につくからですね。

そう。お前の言う通り、数えられる名詞の単数の形を修飾するというのが「every」の原則だな。例えば「every country」なんていう風になるわけね。空欄のすぐ後ろにある「information」っていうのはどんな名詞だった?

それは「数えられない名詞」ってことだと思います。

そう。だから「every」はダメなわけだな。

この問題はその名詞(「information」)を修飾できるのはどれかっていう質問なわけですよね。

そう。「information」と仲良くできるのはどの人ですか?っていうのを聞いているわけだな。このまま答えを考えるというのもいいんだけど、ちょっと小説から抜いてきた文章を掲載してみよう。答えの道筋も見えてくると思う。
“I’ll probably never be this nervous again in my whole life,” Nakamura sputtered through trembling lips.
※sputter早口にしゃべりたてる
こがん緊張することこれからのボクの人生にはもうなかかも知れんですね、唇を震わせながらナカムラが言う。
To say my knees were trembling would be a hopeless understatement; my entire body was shimmying like the moon on the river.
※shimmyシミーを踊る。揺れる
震えているのはひざだけではなかった。全身が川面で揺れる月に合わせるように震えていた。
※sputter早口にしゃべりたてる
こがん緊張することこれからのボクの人生にはもうなかかも知れんですね、唇を震わせながらナカムラが言う。
To say my knees were trembling would be a hopeless understatement; my entire body was shimmying like the moon on the river.
※shimmyシミーを踊る。揺れる
震えているのはひざだけではなかった。全身が川面で揺れる月に合わせるように震えていた。
“I would work for you like your sons,” Hagen said, meaning with complete loyalty, with complete acceptance of the Don’s parental divinity.
「僕はあなたの息子のように、あなたのために働きたいんです」ヘーゲンは言った。これはドンに対する完全な忠誠と、ドンの父親としての権威を絶対的に受け入れることを意味していた。

「whole」と「entire」は村上龍の「69」から「complete」は「ゴッドファーザー」から引用してある。さっき「information」と仲良くできる単語はどれって聞いている問題だっていったけど、引用文を見ればどれが、仲良くできるかわかるだろ?

「complete」ですね。

それはなんで?

「complete」がはじめに修飾している「loyalty」っていうのは「忠誠心」ってことですよね。これは不可算名詞ということになると思います。

そう。もうそれで答えなんだな。一応「every」を省いてなんて手順を間に入れたけど、不可算名詞と相性がいいのが「complete」という単語になるわけ。だからそれを知っていればすぐに答えが出てくる問題ということになると思う。

「whole」や「entire」との違いというのは考えなくていいということですか?

ここは本当に深い泥沼みたいな領域だな。ただ、はっきり言えるのは、「whole」というのは「全体の」という意味で用いて、単数名詞と一緒に使うときは原則、冠詞(もしくは冠詞相当語)が必要だということだな。「my whole life」ってなっているだろ?

「my」がいわゆる冠詞相当語となるわけですか。

そう。冠詞の「a」「the」 のほかに「this」とか「those」「my」「your」のような代名詞を冠詞相当語というんだね。こういう冠詞(冠詞相当語)と一緒に使うというのが原則になるということだ。それから、その冠詞の位置にもルールがある。

どういった?

「my whole life」であって「whole my life」とはできないってことだな。このルールは不可算名詞のときも同じで「whole」は「不可算名詞に直接つくことができない」というのが原則だ。

そうすると、そもそも冠詞が付いていないわけですからそこでも一応は見分けが付くということですか?

そうもできるね。

「entire」も「whole」と同じで大丈夫ですか?

「whole」の使い方と原則同じと考えていいと思う。例えば高橋が聴いて勉強していた「ゴッドファーザー」に今言った原則から外れる例、つまり冠詞なしで名詞を修飾している例というのは一つもないね。他に、「羊たちの沈黙」やカート・ヴォネガットの「ホーカス・ポーカス」でも同じ。村上春樹の「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」といった英訳でも冠詞なしで名詞を修飾している例は一例もないね。

では、この問題は「complete」は数えられない不可算名詞を直接修飾できるからそれをすぐに選ぶ、ということでもいいし、消去法でもいいということですね。

まあ一応泥沼みたいと言ったのは、「entire」の運用方法について、はっきり説明している辞書や文法書はない、ということなんだな。この点ネイティブは皮膚感覚で理解していることだと思う。

ただ「whole」と同じように、冠詞なしで直接名詞を修飾している例というのは見当たらないということなんですね。

そう。まあ、こういう部分は結構消耗するし、不毛だな。問題を引っ張ってきてしまったから、とにかくできるだけ突き詰めてやってみたけど。

「entire」も「whole」の意味上の違いというのはあるんですか? その意味の違いから考えるというのもできますか?

これは参考ということでお願いしたいけど、高橋の同僚だったアメリカ人は「whole」というのは、例えば「ホールケーキ」のような「損なわれていない全体」というイメージだと言っていた。それに対して「entire」は「complete」から来ていて、どちらかというと「(欠けがない)物の集まりの全体」というイメージだということだった。昨日「complete」の意味をやったとき一番初めに紹介したのはどんな意味だった?

「全集」でしたね。全部そろっているということでした。

「The Complete Tanizaki」で「谷崎(潤一郎)全集」という意味になるということだったな。「The complete works of Tanizaki」という風に使うことが多いという話もしたと思うけど、この「complete」はどんなイメージと話した?

欠けがないということでしたね。

そう。全集っていうのは個別のピースの集合を指して言うわけだろ。「entire」というのはこれに近いということだ。それに対して、「whole」はそういう個別のものの総体というイメージではなく「ホールケーキ」や「(8枚切などにしていない)パン」などのように「損なわれていない全体」というイメージなんだな。

すごく細かいニュアンスですね。

とりあえず、昨日やった「complete」の意味をしっかりつかんでおくというのが一番かな。
少なくとも今日話した、「entire」と「whole」それから「complete」の具体的な違いを説明せよ、なんていう問題は出ないから、安心していいと思う。
少なくとも今日話した、「entire」と「whole」それから「complete」の具体的な違いを説明せよ、なんていう問題は出ないから、安心していいと思う。
今日の補足

私が以前一緒に働いてアメリカ人は、「whole」のことを「unhurt」(損なわれていない)とか「undamaged」(破損していない)といった単語を使って説明してくれました。さきほども例に出たように「(切っていない)ホールケーキ」のようなイメージですね。一方で昨日お話した「complete」というのは、全集の例の通り「欠けがない全体」というイメージです。同義語として括れる言葉ですが、微妙なニュアンスの違いがあるということになりますね。
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●追伸

英語の勉強はどこかで楽しめないと続かないと思いますので、こうした細かい話は避けたかったのですが、公式問題集から引用した手前、引くに引けなくなってしまいました。
小説の実例を出したので少しは分かりやすくなっていたでしょうか? 定期的に更新していますので、またよかったら覗いてみてください。
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昨日掲載したTOEICの問題は簡単でしたか?今日は「complete」の続きとして主にこの問題について触れてみたいと思います。もちろんいつものように小説の実例付きです!