

今日は「complete」ですか?

そう。参考書とかでよく見かけるだろ?

「コンプリート世界史」とか「コンプリート日本史」だとかその手のやつですよね。

まあ、その日本語でもよく使われる「コンプリート」が実際にどういう意味なのかってことだな。今日は、いきなり引用から初めてみよう。この単語のイメージがつかめると思う。今までヘビーローテーションで引用してきた村上龍の「69」から取ってある。
The Collected Works of John Maynard Keynes; The Complete Lukacs; The Complete Tanizaki……I knew the titles of all these books by heart.
※by heart暗記して ※John Maynard Keynesケインズ ※Lukacsルカーチ
※by heart暗記して ※John Maynard Keynesケインズ ※Lukacsルカーチ

これ、どういう意味になる?

「ルカーチ」とか「谷崎」って作家のことですよね。

「ルカーチ」はハンガリーの哲学者で、「谷崎」は谷崎潤一郎のことだな。

「complete」ってようするに全部そろっているということですよね。

そう。この場合は特に「全集」となるな。「ルカーチ全集」「谷崎全集」ってことだ。普通は「The complete works of Tanizaki」とすると思うけど、「The Complete Tanizaki」で「谷崎全集」とできるということだな。とくにこの言葉が持っている感触が「全集」という使い方に入っていると思ったのでいきなり引用してみたというところだな。

この文章は、そういう全集の「タイトル」だけは暗記していたっていう感じですか?

「The Collected Works of John Maynard Keynes; The Complete Lukacs; The Complete Tanizaki……I knew the titles of all these books by heart.」で「ケインズ全集もルカーチ全集も谷崎全集もすべて、タイトルだけは知っていた」というのが日本の原文になる。主人公の「ケン」は何でも知っているように振舞っているけど実はそういう本のタイトルしか知らなかったということだな。

「complete」の意味がよく出てるってことですけど、「全部」というイメージでいいってことですよね。

「欠け」がないってことなんだな。「全部そろっている」「完全な」なんて表わせると思うけど、辞書で端的に説明しているので、引っ張ってみよう。
You can use complete to emphasize that you are referring to the whole of something and not just part of it.

まさに「一部ではなく全体、全部」ってことだな。

この感じでいうと「whole」とか「entire」なんていう単語も同義語になるんですか?

ああ、えぐいとこ突いてくるな。そうだね。上で引用した辞書は「collins cobuild」だけど、同義語として「whole」と「entire」が載っている。で、その単語の使い方の違いなんていうところをTOEICでは問われたりするんだな。ただ、その話は後にしよう。

じゃあ、とりあえず「whole」と「entire」と同義語であると覚えていいってことですか。

もちろんそう。で使い方の違いは保留だな。とりあえず次の意味に進もう。今度は村上春樹の「1973年のピンボール」からだ。
I completed my day’s work by two o’clock and hightailed it out of there, tossing the completed manuscripts on her desk as I passed.
※hightailed it 急ぐ
※hightailed it 急ぐ

これは動詞と形容詞の二つを贅沢に使っている文章になるな。どっちも同じ意味になるけどどう? さっきの「一部ではなく全部、全体」というイメージがあればすぐにわかると思う。

「完了する」ですね。

そう。「二時までに一日分の仕事を済ませ、原稿を女の子の机に放り投げると事務所を飛び出した」と原文はなっているね。要するに仕事を「完了」させて、その「完了」した原稿を机に放り投げたということだな。同じ「1973年のピンボール」では「With that their preparations were complete.」という文章もあるけどこれは形容詞で使っているね。「これですべての準備は完了しました」というのが原文になる。

動詞でも形容詞でも同じように「完了」をあらわせるということなんですね。

そう。「complete」はとにかく、最初に挙げた「全集」の意味をイメージするのが大事だな。あとは、そこから少し外れるかな、というのが二つあるから紹介してしまおう。今度は「ゴッドファーザー」から。
Don Corleone walked him to the door, assuring him that competent people would be sent to the bakery to arrange all details, complete all necessary documents.
ドン・コルレオーネは彼を戸口まで送ってゆき、細部の打ち合わせと必要な書類の作成に、優秀な人物を彼の自宅まで行かせるからと確約した。
ドン・コルレオーネは彼を戸口まで送ってゆき、細部の打ち合わせと必要な書類の作成に、優秀な人物を彼の自宅まで行かせるからと確約した。

「complete all necessary documents」ですか。「書類の作成」となっていますね。

これはナゾリーニというパン屋が、娘婿が国外追放にならないようにドン・コルレオーネに頼んでいる場面だな。それを快諾して「細部の打ち合わせと必要な書類の作成に、優秀な人物を彼の自宅まで行かせるから」と言ったわけだね。必要な書類を「埋める」ためにという風になると思う。

書類に「記入する」ってことですか?

それが一番近いね。辞書ではこう出ている。
If you complete a form or questionnaire, you write the answers or information asked for in it.

質問事項に記入することを指して「complete」とするわけだな。

確かに毛色はちょっと違いますかね。ただ「完了する」っていうところから、そうは遠くないか。

繰り返しだけど「69」の「全集」を頭に入れてそこから派生させるのがいいと思う。とにかく「記入する」って意味があるってことだな。少しだけ毛色の違うが意味が二つあるって言ったけど、もう一つは「complete with」で「~が付いた」という意味になるね。「日記にペンが付いている」なんていうときに使える表現だ。

付属しているって感じか……。

例えば、部屋に家具が付いているアパートっていうことで、「complete with furniture」なんていう使いかたもできるな。

「冷蔵庫完備」とかに使えるってことですね。

よくあるだろ。賃貸マンションの宣伝文句で。一度築50年の木造アパートで「壁付き扇風機完備」っていうの見たことあるけどな。書かないほうがいいんじゃないかと思ったけど。

アピールするところがなくて「エアコン完備」っていうのはよく見ますけどね。

一応「complete」の意味はこれで終わりだけど、さっき触れた宿題にちょっと触れておこうか。

「whole」や「entire」っていう単語とどう違うのかってことですか?

そう。それを聞くいやらしい問題がTOEICの公式問題集に載っていたから引用してみよう。
The Kwon Group employee handbook contains_____information about payroll, benefits, and terms of employment.
(A)every
(B)entire
(C)whole
(D)complete

これわかる?

今日やったとこでヒントはありますか?

あるよ。「全集」のところで引用した辞書の文章にヒントがあるね。ただ、答えを出す前に今日はいったんここで終わろう。「whole」とか「entire」までやっていると異常に長くなっちゃうから。

じゃあ。もしこの問題を知らない人がいたら、一緒に考えてもらいましょうか。

そうしよう。明日この続きからはじめよう。
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●追伸

記事が長くなってしまうのでいったん切りました。明日、掲載したTOEICの問題にもう一度触れたいと思います。明日もお見逃しなく!
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今日は昨日の「apply」に続いて「complete」という単語を取り上げたいと思います。「コンプリート~」とよく参考書などで使われていたりするので、あなたの耳にもなじみがある単語だと思いますが、TOEICで問われる意味を今日は確認しておきたいと思います。いつものように小説の一節を引用して頭に入りやすいようにしてあります!